高血圧症合併症・腎不全


■ 高血圧の合併症・慢性腎不全・・・人口透析が必要になる場合があります。

腎臓には糸球体と呼ばれる細小動脈の束があり、血液をろ過し尿を作ります。高血圧の状態が長年続くと血管が動脈硬化をおこし、心筋梗塞や脳梗塞の原因になりますが、腎臓の細小動脈の束で動脈硬化がおこると腎臓機能が低下し腎臓が硬くなる腎硬化症を発症し慢性腎不全や尿毒症となり、やがて人工透析が必要となり、命に関わります。

現在、人工透析が必要となる患者数は約20万人で毎年3万人程度の新規の人工透析患者があります。新規透析患者で慢性腎不全の原因の1位は糖尿病性腎症、2位は慢性糸球体腎炎で3位が高血圧などが原因の腎硬化症となり、全体の約7%程度で数字的には低いのですが、ここ10年で2.4倍と増加しています。

また、糖尿病性腎症、慢性糸球体腎炎でも高血圧症の発症をほとんど伴います。慢性腎不全と高血圧は深い関係があります。

腎臓はタフな臓器で腎機能が20%以下に低下するまで、困ったことにほとんど症状がありません。症状がでた時には人口透析が必要となる前段階まで慢性腎臓病が進行してしまっている末期腎不全の状態となっているケースが多いのです。人工透析となると費用も時間もかかり、大幅に生活の質が落ちます。

高血圧は「沈黙の殺し屋」といわれますが、高血圧を放置していると脳溢血や心筋梗塞だけでなく腎臓もやられます。恐ろしい殺し屋です。




■ 高血圧が腎臓に与える影響・・・高血圧は治療が必要

腎臓の細小動脈の束の糸球体で血液をろ過して「おしっこ」を作り老廃物を体外に排出していますが、細小動脈が痛んでくるとろ過率が低下して老廃物が溜まったり、体に必要な物まで体外に排出してしまいます。

健康な人の糸球体ろ過値は約100mL/分です。平均血圧96(130/80相当)では年齢相当の腎機能低下の範囲に留まります。平均血圧100(130/85相当)では毎年約3mL/分の腎機能低下を生じてしまい、20年後には3mL x 20年で約60mL/分の腎機能低下を生じる計算になります。平均血圧106(140/90相当)では毎年約6mL/分の腎機能低下を生じ、6mL x 10年ではなんと約60mL/分の腎機能低下を生じる計算になります。管理人も血圧が180mmHgあったときにはおしっこがオレンジ色で、かなり腎臓に負担がかっていました。その後血圧は下がったので腎症にはなっていません。

しかし、管理人は50歳代ですが、周りにいる同年代の人達は135mmHg〜160mmHgの方ばかりです。おまけに50歳になって今の血圧になったわけではなく40歳代中頃からだいたい同じような数値で年と共に高くなってくるとみんないいます。平均寿命が約80歳とすれば、高血圧の状態を放置したままだとみんな人工透析が必要な状態になります。長生きしても人工透析で苦しむのではかないません。生活習慣の改善、高血圧の治療が必要です。



■ 慢性腎不全の病期と治療法

  病期 糸球体ろ過値(ml/分)         症状   治療
1期:腎予備力低下 約80〜50 ほとんど無症状 食事療法、
薬物療法
2期:保全期
腎不全前期
約50〜20 夜間尿、貧血、尿濃縮力低下
3期:保全期
腎不全後期
約10〜20 貧血、代謝性アシドーシス、高リン血症、低カルシウム血症、高カリウム血症
4期:尿毒症 約10以下 第3期の症状の他に、消化器系、神経系、循環器系、血液系の多彩な尿毒症症状、乏尿無尿 透析療法、
腎移植


どのような病期でも早期発見早期治療が重要ですが、自覚症状がなく症状が出たときには3期-保全期あたりまで病期が進んでいればたいへんです。

高血圧症の人は自分のおしっこの色などに注意をはらう必要があります。糖尿病ではないのでおしっこなど関係ないと思われがちですが高血圧でも人工透析が必要となることがあるのです。